研究課題/領域番号 |
21K12321
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研究機関 | 北見工業大学 |
研究代表者 |
駒井 克昭 北見工業大学, 工学部, 教授 (90314731)
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研究分担者 |
中山 恵介 神戸大学, 工学研究科, 教授 (60271649)
中下 慎也 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 助教 (90613034)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ノンポイントソース / 環境動態解析 / 起源追跡 / 流域特性 / 流出モデル |
研究実績の概要 |
本研究は、釧路川流域における面源負荷量の評価と管理を目的とし、希土類元素(REEs)を用いた環境動態解析手法の開発と適用を行った。釧路川流域は多様な土地利用形態を有し、特に中~下流域には日本最大の釧路湿原が広がっている。この環境における物質の流出・輸送特性を明らかにし、環境保全と持続可能な循環型社会の構築に貢献することを目指した。初年度には、現地調査を行い、栄養塩類(N、P、DOC)やREEsを含む40種類の金属元素、CDOMのEEMs(蛍光性溶存有機物)の分析を実施した。これらのデータを基に、表面流、浸透流、河川流、地下水流の水量、運動量、物質量の輸送方程式を解くOPDM(オブジェクト指向動態モデル)を拡張した。次年度には、面源負荷量モデルとMDF(Multi-Dimensional Fingerprint)の開発を行い、降水時の調査で得られたデータを用いて栄養塩類、CDOM、REEs、金属元素の面源負荷量の応答特性を評価した。これにより、統計的に有意なマーカー物質を選定し、MDFを構成した。最終年度には、面源負荷発生サブモデルをOPDMに組み込み、釧路川全域から河口域に流出する栄養塩類とMDFの負荷量をシミュレーションした。物質の起源追跡を行い、既存の積分型概念モデルと比較した。また、MDFを用いた機械学習によるモデルチューニングを行い、栄養塩等の負荷量変化に対するマーカー物質の感度解析も実施した。これらの成果により、釧路川流域の環境動態解析手法が確立され、流域から海域への物質輸送の特性を明らかにすることができた。今後は、得られたデータとモデルを基に、流域全体の面源負荷対策の評価・予測を行い、持続可能な環境管理と保全に寄与することが期待される。本研究の成果は他の流域にも適用可能であり、広範な地域での環境保全と持続可能な社会の実現に貢献するものと考えられる。
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