研究課題
本年度は、全世界における鉄鋼・セメント産業を対象としたシミュレーションモデルを構築し、世界的なカーボンニュートラル達成に向けた将来像を検討した。その結果、気温上昇を1.5℃から2℃未満に抑制するためのCO2排出許容量内で供給可能な鉄鋼とセメントは、将来の世界的需要に対して不足する可能性が高いことが明らかとなった。これは、我々の社会基盤を支える材料が豊富で安価に手に入る時代の終わりを示唆するとともに、同じ量の材料でより多くのサービスを提供するための資源効率性向上の取り組みの必要性を強調するものである。必要な資源効率性のレベルは技術開発やインフラ整備の進展度合いに依存するが、本研究では製造業で約40%、建設業で約60%の資源効率性向上を1.5℃目標と整合的なベンチマークとして科学的に提案することに成功した。これらの結果は、鉄鋼やセメントが安価に入手可能な材料ではなくなる可能性を社会全体で共有し、産業間連携や政策的支援、社会システムそのもののあり方を早急に議論することの必要性を強調するものである。本課題の研究機関全体を通して得られた成果は、Nature Sustainability誌やNature Climate Change 誌、Nature Communications誌等の注目度の高い学術誌に複数掲載されたことで、複数の報道機関から問い合わせを受けるとともに、関係者との議論の場形成にも繋がった。
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すべて 国際共同研究 (4件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 4件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (13件) (うち国際学会 5件、 招待講演 9件)
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