本研究は、「パブリックガバナンスとプライベートガバナンスの共進化」という視角から、企業というアクターの機能や役割を環境ガバナンスの中に位置付けることを通じ、新機軸の環境ガバナンス論の構想を試みた。その結果、環境ガバナンス論に流れ込んでいるいくつかの理論的系譜のうちコモンズ論に着目しつつ、環境ガバナンスシステムを集合行為問題の解決メカニズムとして位置付けられることを示した。加えて、企業を含む各アクターの連携・協働を分析するための理論的枠組みを示し、そこから企業のマネジメント構造やコーポレートガバナンス構造との関係構造についても論じた。
|