研究課題/領域番号 |
21K12374
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研究機関 | 国立研究開発法人国立環境研究所 |
研究代表者 |
小出 瑠 国立研究開発法人国立環境研究所, 資源循環領域, 研究員 (60781987)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | サーキュラーエコノミー / 社会シミュレーション / エージェントベースモデル / 耐久消費財 / 消費者行動 / 気候変動緩和 |
研究実績の概要 |
本研究課題は、循環経済における耐久消費財の製品サービスシステム普及に関する消費者行動と環境影響に着目したシミュレーションモデルを構築することを目的としている。2年次にあたる2022年度は、製品循環と消費者行動のシミュレーションモデルの開発を継続するとともに、家電製品をケーススタディとするシミュレーション実験を行った。 製品循環と消費者行動のエージェントベースモデルの開発では、7種類の製品レベルの循環経済戦略(修理、リユース、リファービッシュ、アップグレード、リース、レンタル、シェアリング)を網羅し、消費者行動を内生化したシミュレーションモデルを開発した。本年度は、消費者行動の限定合理性と社会的影響を反映した消費者行動モデルの開発に注力した。循環経済おける製品の入手・修理・排出という3つの選択行動に着目し、新たな製品サービスの知名や考慮状況を踏まえた選択行動、社会ネットワーク上のクチコミ交換や社会的影響を反映したモデルを構築した。また、故障とそれ以外の理由による製品の買い替えを考慮した製品使用期間モデルを構築し、消費者と製品の両方をエージェントとして表現することで、製品の使用期間や様々な循環形態、所有形態を踏まえたシミュレーションを可能とした。家電製品に関するケーススタディを通し、様々な循環経済戦略と促進策(価格、広告、サービス水準向上など)をシナリオとして想定し、多数のシミュレーション実験を行うことで、循環経済戦略の導入により社会全体に期待される製品循環の改善(サーキュラリティ)と環境影響(温室効果ガス排出量)を動的に定量化した。また、循環経済への移行期における製品循環のボトルネック(回収済み製品の不足など)やバックファイア効果(輸送回数の増加など)を踏まえた望ましい施策を検討するための一連の手法を開発した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
シミュレーションモデルの開発が完了し、本研究課題の目的である循環経済における耐久消費財の製品サービスシステム普及に関する消費者行動と環境影響のシミュレーションモデルの構築が順調に推移しているため。 なお、当初計画ではアンケート調査を実施することとしていたが、消費者行動モデルをはじめとするシミュレーション手法の確立を優先することした。製品使用と消費者行動に関するデータ収集は、研究協力者が別途収集した調査データを活用した分析を並行して進めており、研究課題全体を通した進捗上の問題は生じていない。
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今後の研究の推進方策 |
今後は開発したエージェントベースモデルを用いたシナリオ分析や感度分析などの計算機実験に注力する。また、製品使用状況と消費者行動に関するアンケート調査に基づき、実証データに基づく消費者行動の多様性を反映したその結果に基づくシミュレーション実験を行う。様々なシナリオを想定したシミュレーション実験に加え、目標達成に重要なパラメータを特定する感度分析手法を適用することで、循環経済における耐久消費財の製品サービスシステム普及に向けて有効な施策を分析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画ではアンケート調査を実施することとしていたが、限られた予算の中でより効果的な研究遂行のため、シミュレーションモデル開発を優先して行った。次年度使用額はアンケート調査の実施および研究成果の発表のための経費に充当する。
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