ヒト生殖補助医療では,卵子は受精後の数日間を37℃一定の人工的な体外培養環境で発育した後に母胎に移植される.一方で,受精卵本来の培養環境である母親の深部体温はゆらいでおり.この体温変動を模倣することでより卵子に優しい培養環境を提供できる可能性がある.しかし,これまでに女性の体内深部温度のゆらぎが詳細に調べられたことは無かった.妊娠した雌マウスにのみ確認できた体温変動は,胚盤胞がまだ子宮に着床していない受精後5日以内に妊娠を判別できる可能性を示す.さらに,ゆらぎのある体外培養温度は受精卵品質を向上させる可能性が示されたことから,体外受精におけるさらなる着床率向上に貢献することが期待される.
|