研究課題
令和3年度は、何種類かのヒト購入血漿の代謝物分析を行い、バッチ内の分析誤差の確認を行った。分析対象の代謝物は主に親水性代謝物とし、ガスクロマトグラフ質量分析計(GC/MS)と液体クロマトグラフ質量分析計(LC/MS)による分析をそれぞれ実施した。具体的には、複数施設において同一血漿検体を分析し、各施設毎の分析誤差を、CV%を算出することで評価した。施設毎で分析誤差を検討した結果、施設内誤差は小さく、GC/MS、あるいは、LC/MSで検出できる代謝物のうち、8~9割の代謝物は、安定的に分析できることを明らかにできた。GC/MSの場合、メトキシム化後の分析開始までの待ち時間の影響から、メトキシム化効率などに違いが生じ、その結果として、面積値での評価では分析誤差が少し大きく出てしまった。しかし、内部標準物質での補正を行うことで、その問題点が大幅に解消できることを確認できた。また、GC/MSとLC/MS両方に関して、分析環境が異なる条件下での分析データの取得も実施した。例えば、カラムの分析使用回数が異なった条件下での代謝物分析を実施したり、新しいカラムに交換して、カラム交換前後でのデータ比較などを進めた。その結果、カラムの分析使用回数が多い場合には、感度低下が観察され、検出代謝物数が減少することを確認できた。その一方、分析安定性については、大幅に低下しないことも確認できた。この場合においても、内部標準物質による補正は有効であることも確認できており、この結果を施設間分析誤差の評価につなげていきたいと考えている。
2: おおむね順調に進展している
当初の計画通り、GC/MSとLC/MSでの分析データを取得でき、かつ、その評価を進めている段階であり、研究は順調に進展している。
GC/MSとLC/MS分析で得られたデータを用いて、施設内分析誤差の評価はほぼ完了できており、現在、施設間分析誤差の検証を進めている段階である。令和4年度も、引き続き、施設間分析誤差について検討していく計画である。
令和3年度は、すでに、保有していたヒト標準血漿などを用いて分析を行い、さらに、データ解析が主な実施内容となったため、分析に関わる費用がほとんど発生せず、次年度使用額が生じた。令和4年度では、更なるデータ評価を進めるために、検体分析を実施する計画で、その際の消耗品購入に次年度使用額に相当する研究費を用いる計画である。
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Metabolites
巻: 12(2) ページ: 135
10.3390/metabo12020135