研究課題
本研究では、結核菌のゲノムDNAをナノポア・シークエンサーで解読し、得られたロングリード配列を利用した新規VNTR解析法(ナノポア・VNTR法)を開発を実施した。本法の開発及び有用性を検証するため、以下の3点の研究を実施した。1. クロロホルム存在下で結核菌体をビーズ振とう破砕することで、ナノポア・シークエンスに適したゲノムDNAを簡便かつ高収量に精製する方法を確立した。2. 96株を対象として、従来法、イルミナ・シークエンス、ナノポア・シークエンスによるVNTR解析を実施した。ナノポア・シークエンスに基づくVNTR解析の従来法に対する一致率は、32領域中27領域で100%、残りの5領域でも81.4%から98.8%と高かった。一方、イルミナ・ショートリードを用いた場合の一致率は32領域全体で36.2%と低く、ロングリード解析の優位性が示された(p < 0.001)。3. ナノポア・リードを用いた薬剤感受性予測において、ゴールドスタンダードであるイルミナ法に対する一致率が96.0%と高い精度を示した。ナノポア・シークエンスを用いたVNTR法及び薬剤感受性予測において高い分析精度を示す方法論を確立できた。今後、分析精度100%を目指して、さらなる塩基配列解析工程の改良が必要である。従来法と比べて、ナノポアVNTR法は、迅速・簡便・安価・ハイスループットで検査を実施できるため、本邦の結核菌分子疫学調査において活用されることが期待される。
すべて 2023 その他
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)
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