研究課題
基盤研究(C)
臨床試験が困難な周産期薬物治療の領域では、医薬品の乳移行性に関する情報は不十分である。本研究の目的は、マウスを用いた簡易型乳汁移行性試験とヒト乳腺上皮細胞単層膜の透過性試験を組み合わせた非臨床的なアプローチで、ヒトでの乳汁移行性に関する情報を補い、医薬品を再評価することである。助成いただいた期間で、これまで情報の無かったテアニン、ヒトでの情報が少なかったエドキサバン、共に乳汁移行性が低い可能性を示唆する結果が得られた。
医薬品評価学、臨床薬理学
トランスポーターの発現や乳汁の組成の違いから、マウスなどげっ歯類での乳汁移行性に関する情報は、ヒトでの移行性を評価するのに有用性が低いとされてきたが、ヒト乳腺上皮細胞の透過性と組み合わせて評価する本研究成果は、動物実験の結果に対する類似点や差異を明確に出来るなど学術的意義は大きい。また、本研究で得られた医薬品の乳汁移行性に関する結果は、授乳婦の薬物治療において、母乳育児と薬物治療の葛藤を解消できるため、社会的意義は極めて大きい。