私たちは言語を理解する際、文や単語の意味内容をあたかも現実のものであるかのように心内で思い浮かべ、擬似経験している(メンタルシミュレーション)と考えられている。本研究では、言語理解中のメンタルシミュレーションにおいてどのような視点が取得されやすいかが、自己主体感・認知的共感性といった心的特性の個人差によって異なることを明らかにした。さらに、おおよそ小学校低学年の年齢帯にあたる児童の視点取得の様式は、成人のものとは異なっていることも明らかになった。今後はこの知見を発展させ、言語理解中のメンタルシミュレーションの発達過程の全体像を明らかにしたい。
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