研究課題/領域番号 |
21K13080
|
研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
大山 万容 立命館大学, 言語教育センター, 非常勤講師 (40773685)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 複言語教育 / 統合的教授法 / 多元的アプローチ / 言語景観 / 食育と外国語教育 / 国語科と外国語科の接続 |
研究実績の概要 |
複言語教育のうち、複数の言語や文化を同時に扱う教育活動は「多元的アプローチ」と呼ばれ、そのうち本研究では「言語への目覚め活動」(Eveil aux langues)、「統合的教授法」(la didactique integree)に焦点を当てている。 「統合的教授法」について、本年度は特に文献研究とフランスの研究者とのオンライン協議を重ねることにより、日本における概念の導入の意義について理解を深め、まずは大学での複言語教育を対象として、いくつかの場面で発表を重ねた(SJDF、フランス語教授法研究会、Pedagogie を考える会)。この成果は既に論文にしており、来年度には書籍として発表 する予定である。 「言語への目覚め活動」については、言語景観(小学校から大学までの授業のなかで、言語景観を取り入れた複言語教育)、食育(小学校における給食を通した複言語教育)、国語科における詩歌の学習と外国語教育の接続(短歌において複数の言語を取り入れる試み)のそれぞれにおいて、領域横断的学習を通して、日本の文脈の中で教材や教育プロジェクトを立ち上げていく方法について研究を進めた。これらは様々な学会(EDiLiC、EQRC)で発表するとともに、国内では教員向けの媒体でも発表し(いただきますinfoセミナー、教師のためのことばセミナー)、また論文も発表してきた(複言語・多言語教育研究、forumlecture)。 来年度は引き続き文献研究や教員養成における実践研究を継続するとともに、国際共同研究をさらに促進しつつ、カリキュラムへの導入のための基礎研究を行う予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究計画1については、多元的アプローチ、とりわけ統合的教授法や、多元的アプローチのための参照枠、さらに統合的研究法に関連する「外国語教育における母語の役割」に関する文献研究を進めることができた。さらにオンラインで海外の研究者とも国際共同研究を進めることができた。ただし新型コロナウイルスの影響のため、小中学校での授業への参与観察は非常に困難であったため、参与観察に基づく研究は期待したようには進められなかった。なお、年度末には複言語教育を行う高校での参与観察を行うことができた。 研究計画2では、1と同様、日本からの海外調査および海外からの研究者招聘も極めて困難であったことから、今年度は実施できなかった。令和4年3月1日より外国人の新規入国制限の見直しが行われたことから、次年度には実施できるものと考えている。 研究計画3にある教員養成における複言語教育については、順調に実践を重ねている。次年度以降に発表していく予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
研究計画1は、初年度に引き続き進めていく予定である。小中学校は依然として参与観察が難しい状況にあるが、できる範囲で進めることに加え、高等学校でも統合的教授法を導入している教員と知り合うことができたため、こちらの参与観察から、中学校での外国語教育への示唆を得ることも視野に入れている。統合的教授法については研究の成果の発表として、別の複言語主義に関わる科研プロジェクトとの協働により、令和4年度中に論考集を出版する予定である。 コロナ禍およびウクライナ情勢をうけて、ヨーロッパへの海外渡航の実現可能性については、渡航費用が高額になったり、日程が立てにくいなど課題も多い。今年度中に海外渡航が難しければ、次年度以降に回すこととする。 研究計画2について、カナダから研究者招聘については研究者本人および勤務先との同意は取れており、令和4年度に実現できるよう準備を進めている。 研究計画3についても初年度に引き続き実践を続け、国内外で発表し、知見の共有を進めていく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスによる規制およびウクライナ情勢悪化を受けて海外渡航ができなかったため、今年度に予定されていた執行ができなかったため。次年度には招聘のめどが立っており、本年度に使いきれなかった分まで執行できる見通しである。
|