• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2022 年度 実施状況報告書

小中学校への複言語教育導入についての研究

研究課題

研究課題/領域番号 21K13080
研究機関大阪公立大学

研究代表者

大山 万容  大阪公立大学, 大学院文学研究科, 講師 (40773685)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード複言語教育 / 統合的教授法 / 多元的アプローチ / 言語景観 / 食育と外国語教育
研究実績の概要

日本の小中学校の外国語教育のカリキュラムに複言語教育を組み込むという研究目的のため、研究計画1「小中学校への複言語教育のための教材開発とアクションリサーチ」および研究計画3「教員養成」を設定した。これらに関して、今年度は複言語主義とアート、科学、リテラシーを結ぶ「PASTELアプローチ」の研究を中心に、小中学校で重視されている食育を通して、研究を進めることができた。外国語教育と、言語以外の領域(ここでは食育)とつなげるプロジェクトを学校教諭らと開発したことにより、東京都栄養教諭研究会や中河内・南河内地区学校栄養士研究協議会研修会での講演を行い、栄養教諭らとともに小中学校への導入について議論を行うことができた。
研究計画2「海外調査・研究者招聘」については、コロナ禍や戦争による影響で申請者本人の欧州渡航はできなかった一方、ベトナムの学校での複言語教育を視察する機会を得、この機にアジアの研究者・教育実践者らとの研究交流を深めた。3月にはカナダからダニエル・モーア教授を招聘し、国際研究集会2023(於京都大学)、関西フランス語教育研究会2023での講演を依頼し、複言語教育研究の日本での活性化に協力するとともに、申請者の複言語教育研究に対してもさらなる示唆と協力を得た。計画していた小中学校訪問は、タイミングを合わせることができず、不可能だったが、モーア氏らとの協働研究の成果として、複言語教育に関する理論的・実践的な研究をもとに章を執筆し、デンマークとドイツそれぞれで書籍が出版された。さらに昨年度から続けてきた統合的教授法に関する研究は、日本で出版される書籍として結実した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

やや遅れている理由は、主として以下による。研究計画時点から勤務形態が変わったこと、またロシアによる戦争の影響で、ヨーロッパでの調査が特に時間的制約によって困難となり、実現できていない。また、個人サイトでの周知についても遅れている。
予想とは反して進んだ点もある。研究計画にはないが、フランスを拠点とする複言語教育の国際会議EDILICにおいて、統合的教授法の研究と普及を目的とする分科会を発足させるためのグループに参加し、主としてヨーロッパを拠点とする研究・実践者らとのつながりを広げることができた。
またコロナ禍がやや落ち着きを見せたため、数年ぶりに国際研究集会を開催することができ、2日間の研究集会とその準備を通して、カナダ、イタリア、南アフリカを含む国内外の研究者らとさらなる協力関係を気づくことができた。対面での研究交流によりさらに新たな領域の研究者らとのつながりを作ることができ、これにより研究計画を深化させることができている。

今後の研究の推進方策

これまでの2年間で得られた知見をもとに、①複言語教育を小中学校の現場に取り入れるための方策のさらなる明確化と分析、そこから②小中学校以外の教育段階への示唆 の両方を中心に進めていく。具体的には、日本では第2外国語は圧倒的に大学生以上に限定されているが、大学での複言語教育のために小中学校での取り組みがいかに示唆を与えるのか、という観点について、これまでの研究を基にした考察を深めていく。
勤務形態の変化に伴い、小中学校を何度も訪問して教材開発をしたり、大学で教員養成を実施することが困難となった。一方で、日本の小中学校の実践からヒントを得た「PASTELアプローチ」を分析・推進することにより、研修会などで小中学校教員とかかわりを維持できた。ここで得た知見をさらに勤務先での言語教育に還元することも考え始めており、そのためのパイロットスタディを開始している。当初の形態とは異なる形で、アクション・リサーチや教員研修の方策を探究することができているため、これをもとに結果を出していきたい。

次年度使用額が生じた理由

研究計画2「海外調査・研究者招聘」のうち、招聘はできたものの、Covid19を含む双方の研究者側の制約のために、招聘期間が短かった。次にヨーロッパでの調査を予定していたが、Covid19の影響や、戦争と物価高のため旅費が高騰し、また時間的にもロスが重く、調査出張が不可能になったことがある。勤務形態の変化により、国内の調査や移動も控えることになった。
招聘については、来年度以降に研究者を短期間招聘する準備を整えている。また、海外調査についても、来年度以降に行う予定である。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2023 2022 その他

すべて 国際共同研究 (2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 図書 (3件) 備考 (1件) 学会・シンポジウム開催 (1件)

  • [国際共同研究] Simon Fraser University(カナダ)

    • 国名
      カナダ
    • 外国機関名
      Simon Fraser University
  • [国際共同研究] University of Copenhagen(デンマーク)

    • 国名
      デンマーク
    • 外国機関名
      University of Copenhagen
  • [学会発表] 「気づき」と「目覚め」はことばの教育をどう変えるか ことばへの気づきと外国語教育:「言語への目覚め活動」と「統合的教授法」2022

    • 著者名/発表者名
      大山万容
    • 学会等名
      関西大学外国語教育学会特別シンポジウム
    • 招待講演
  • [学会発表] Measures to support linguistic minority children: Raising awareness of language management in Japanese schools2022

    • 著者名/発表者名
      Mayo Oyama
    • 学会等名
      3rd International Conference on Sociolinguistics
    • 国際学会
  • [図書] 複言語教育の探究と実践2023

    • 著者名/発表者名
      西山教行・大山万容
    • 総ページ数
      192
    • 出版者
      くろしお出版
    • ISBN
      9784874249420
  • [図書] Linguistic Landscapes in Language and Teacher Education: Multilingual Teaching and Learning Inside and Beyond the Classroom2023

    • 著者名/発表者名
      Sylvia Melo-Pfeifer
    • 総ページ数
      333
    • 出版者
      Springer
    • ISBN
      9783031228667
  • [図書] Translanguaging and Epistemological Decentring in Higher Education and Research2022

    • 著者名/発表者名
      Heidi Bojsen, Petra Daryai-Hansen, Anne Holmen, Karen Risager
    • 総ページ数
      288
    • 出版者
      Multilingual Matters
    • ISBN
      9781800410893
  • [備考]

    • URL

      https://www.yaekotoba.com/

  • [学会・シンポジウム開催] 国際研究集会20232023

URL: 

公開日: 2023-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi