研究課題/領域番号 |
21K13194
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
馮 茜 大阪大学, 社会技術共創研究センター, 特任助教(常勤) (00802852)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 日中国際民事訴訟 |
研究実績の概要 |
本研究は、日中間の国際民事訴訟に関する諸問題を対象として、それぞれの現状を明らかにした上で、比較法的な検討を行うものである。 令和4年度においては、まず、日本と中国における国際裁判管轄の問題について、前年度に得られた資料の分析、検討を行った。これらによって、日中間の国際裁判管轄についての立法、判例、学説の現状と問題点を把握することができた。しかし、中国では、令和4年に、国際民事訴訟全般について民事訴訟法を改正する動きがあり、国際裁判管轄の規定が新設された(令和4年12月27日第13回全人大常委会第38回会議で「民事訴訟法改正案」が審議され、12月30日に意見徴収が行われた)。このような立法の動向について、補足的な検討が必要となり、令和4年度は、これに関する資料を一部収集、分析した。また、外国判決の承認・執行について、日中間の問題を中心に、引き続き資料を収集し、得られた資料の一部を分析、検討した。中国では、令和4年に、互恵関係要件について、判決国が中国判決を承認した先例の立証を必要とせずに、判決国法によって中国判決が承認・執行される可能性があれば互恵関係を認めるとする判例が現れた。このような裁判実務の動向に対する分析と検討も踏まえ、日中間の外国判決の承認執行の現状を把握することができた。さらに、国際的な送達及び証拠の収集について、中国法、日本法及びハーグ国際私法会議における議論を中心に引き続き資料を収集した。その他に、中国における訴訟差止命令について、引き続き資料を収集し、前年度に得られた資料の分析、検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
十分な資料、文献を収集し、分析及び検討を進行している。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大で多くの海外文献の到着が遅れた。また中国における国際民事訴訟に関する諸問題については、立法の動きによって当初の計画よりも検討すべき問題が増加したため、一部の資料の収集、分析が完了していない。大幅な遅れではないと考えているので、本年度も予定通り検討を続ける。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度においては、まず、日中間の国際裁判管轄の問題、外国判決の承認執行の問題、国際的な送達及び証拠の収集について、前年度に得られた資料の分析、検討を行う。また、中国における民事訴訟法の改正について、引き続き調査し、情報の補足、更新を目的として、これまでに得られた資料との比較分析を行う。さらに、中国における訴訟差止命令について、引き続き分析、検討を行う。日本、アメリカ、イギリス及びEUにおける関連する議論についても引き続き調査し、比較法的分析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの感染拡大で国際学会への出張旅費がかからなくなったため、次年度使用額が生じた。次年度における文献購入に用いることを予定している。
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