研究課題/領域番号 |
21K13201
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
早川 雄一郎 立教大学, 法学部, 准教授 (80737221)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 不当表示 / ステルスマーケティング / FTC / ACCC |
研究実績の概要 |
本研究は、デジタル経済の進展によってインターネット上で商品に関する情報を発信することが容易化し、様々な課題が生じている今日の広告規制のあり方の解明を目指している。 以上の研究目的を達成するため、2021年度には、第一に、米国・連邦取引委員会(FTC)によるステルス・マーケティングに対する規制に関する調査を行った。FTCは、ステルス・マーケティングに関して活発な規制を行っていることで知られ、膨大な公表資料が存在する。そこで、FTCの先例、指針、指針改定時におけるパブリックコメントに対するコメント等を調査対象として分析を行い、FTCの考え方を整理しつつ、実際にはどのような事例において、誰を名宛人として立件しているのかを分析した。 また、第二に、2022年度以降に計画していた広告主以外に対する規制をめぐる問題に関連して、プラットフォームの不当表示に係る責任に関する検討を前倒しで行った。プラットフォームが不当表示に関わるケースでは、不当表示のもたらす弊害がより大きくなりうる一方で、日本の景表法では規制上の障害が存在する。他方、米国やオーストラリアにおいては、プラットフォームに対する規制も行われている。2021年10月に商事法務独禁法研究会で報告の機会を与えられたことから、米国とオーストラリアの事例検討を行い、参加メンバーである研究者や実務家から有益なコメントを受けることができた。その成果は、雑誌「公正取引」において公表している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度は研究1年目であるところ、当初計画していたとおり、ステルス・マーケティングに関する米国FTCの膨大な公表資料を調査・分析することができた。また、2022年度以降に計画していた広告主以外の主体の責任をめぐる問題のうち、プラットフォームの不当表示に係る責任に関する米国とオーストラリアの事例を研究会で報告し、当該研究成果を公表することができた。これは、ほぼ当初計画どおりの進捗状況であり、おおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度には、2021年度に調査・分析したステルス・マーケティングをめぐる課題について、日本法との比較法的視座も踏まえて論文を執筆することを予定している。その際には、2022年度に計画していた広告主以外の主体に対する規制のあり方に関する検討を行い、その視点も盛り込む予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの流行の影響で予定していた出張ができなかったこと、及び、購入を予定していた書籍の刊行が遅れたことから、次年度使用額が生じた。次年度使用額は、出張に代わるオンラインでのやり取りのための設備の整備、観光が遅れていた書籍の購入のために使用する計画である。
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備考 |
[研究発表]早川雄一郎「プラットフォームによる口コミ・評点の操作及び個人情報の第三者提供に係る欺まん的行為―豪州のHealthEngine事件―」(商事法務独禁法研究会、2021年10月)
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