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2022 年度 実施状況報告書

外国人労働者の受け入れにおける文化的差別についての実証研究

研究課題

研究課題/領域番号 21K13280
研究機関信州大学

研究代表者

テキ アライ  信州大学, 学術研究院社会科学系, 准教授 (40837572)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワード移民 / 労働市場 / 結婚 / 結婚市場
研究実績の概要

本研究課題の目的は、労働市場で生じる差別の原因を特定したうえで、現地調査で集計できたデータと情報に基づき、文化的要因を定量的に取り上げることである。具体的には、下記3つの課題を解明する。[課題1]では労働市場における同文化・異文化差別の慣習の存続状況を統計的に分析する。[課題2]では労働市場にける雇用主と労働者の間の文化的差異を指標化する。[課題3]では、雇用主の同文化・異文化差別慣習の背後に潜む行動原理を経済学の理論で解明する。
この目的を達成するには、中国・ミャンマー国境地域の少数民族社会において、綿密なフィールドワークを実施することが必要不可欠である。2021年度および2022年度前半は、COVID-19感染症水際対策のため、現地調査を実施できなかったが、2022年3月において、水際対策の一部緩和により、厳密な調査設計に基づいて、初回の予備調査研究を中国・ミャンマー国境地域で実施した。それによって、[課題1](労働市場における同文化・異文化差別)の慣習の存続状況を確認できた。それのみならず、現地調査の実施により、調査票をさらに精緻化したことができた。さらに、2022年度までに行なった中国内地の若年女性を対象に調査・研究に基づき、女性の出生意欲が低下していることを価値観の変容の観点から解明し、国際学会(Western Economic Association International)で口頭報告を行った。
したがって、前年度に進めていた[課題2](文化的差異の指標化)と併せた今年度の研究実績は、来年度およびそれ以降の精密なデータベースの構築と[課題3](雇用主の同文化・異文化差別のモデル化)の礎となっている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

本研究課題の2022年度の実施ステップは、以下の通りである。ステップ①では、2021年度に完成した調査設計に沿って現地調査を2022年8-9月、2022年12月、2023年2-3月、にかけて3回実施する予定である。ステップ②では、[課題2](文化的差異の指標化)に関連する研究の成果を学会で発表し、研究知見を積み上げている。ステップ②については、おおむね順調に実施した。しかし、ステップ①の現地調査研究に関して、2023年3月に水際対策の一部緩和により、予備調査を実施できたが、中国・ミャンマー国境地域の移民労働者の受け入れの規模がパンデミック前に比べてはるかに縮小していると確認できたため、海外現地調査によるデータ収集に限界が生じている。
上記の理由により、研究は遅れている状況である。

今後の研究の推進方策

本研究は、COVID-19 感染症対策に関連する出入国の制限がある中、調査地の(再)選定と調査の実施が2022年度の最大の課題であった。2023年3月に水際対策の一部緩和により、予備調査を実施できたが、中国・ミャンマー国境地域の移民労働者の受け入れの規模がパンデミック前に比べてはるかに縮小していると確認できた。そのため、[課題3](雇用主の同文化・異文化差別のモデル化)の解明には、データ不足により、制限される可能性があると認識した。そのデータの量的制限を克服するために、新たな研究手法を導入したい。
また、調査の過程の中で、ミャンマー人(女性)の越境結婚は依然として盛んでいた事実を突き止めた。とりわけ、越境結婚の前提は、中国農村地域女性の都市部への流出が主な原因だと指摘される中、少子化社会に突入した中国において、中国人女性の出生意欲低下もその要因の一つとして解明する必要があると考えた。そのため、2022年度までに行った中国内地の若年女性を対象に調査・研究に基づき、出生意欲が低下していることを価値観の変容の観点から解明している。そのうえで、来年度は、中国国境地域の農村社会における嫁不足を構造的に把握するとともに、出生力低下の要因を探ることにしたい。ミャンマー人結婚移民(主に女性)に焦点をあて、中国内地の女性と比較しながら、越境結婚移民の出生意欲について解明したい。

次年度使用額が生じた理由

COVID-19感染症対策に関連する出入国の制限により、2022年には中国・ミャンマー国境地域における現地調査を一回しか実施できなかったため、旅費等の執行ができず、次年度使用額が生じた。
2022年度に計画した2022年8-9月、2022年12月、2023年2-3月に実施する現地調査を2023年4月(実施済み)、2023年8月、2024年2-3月に順延する。2022年度の旅費を2023年度中に執行する予定である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [学会発表] Cross-border marriages and fertility intentions: evidence from Myanmarese brides in Yunnan, China2022

    • 著者名/発表者名
      ZHAI Yalei
    • 学会等名
      Webinar Towards Understanding Grassroots Perspectives in Myanmar under COVID-19
    • 招待講演
  • [学会発表] Confucian Family Values and Fertility Intentions: understanding the decreasing birthrates in Post-one-child China2022

    • 著者名/発表者名
      ZHAI Yalei
    • 学会等名
      信州大学先鋭領域融合研究群社会基盤研究所データサイエンス(DS)部門ミーティング
  • [学会発表] Confucian Family Values and Fertility Intentions: understanding the decreasing birthrates in Post-one-child China2022

    • 著者名/発表者名
      ZHAI Yalei
    • 学会等名
      Webinar of China's Fertility Change: Data and Measures, China Center for Agricultural Policy(CCAP)
  • [学会発表] Traditional Childbearing Values and Fertility Decisions: A Study of Recent Chinese Data2022

    • 著者名/発表者名
      ZHAI Yalei
    • 学会等名
      International Conference on Physiography and Geography
    • 国際学会

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公開日: 2023-12-25  

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