研究課題/領域番号 |
21K13356
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研究機関 | 京都先端科学大学 |
研究代表者 |
大竹 恵子 京都先端科学大学, 経済経営学部, 講師 (70880201)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ワーク・ライフ・バランス / 組織風土 / 構成概念 / 介護職 |
研究実績の概要 |
本研究は介護職場におけるワーク・ライフ・バランス(WLB)支援に関して、組織風土とマネジメントの視点から検討するため、「①WLBに関する組織風土の構成概念の検討」と「②組織風土を含むWLBに関わる要因に影響を与えるマネジメント内容の検討」という2点を大きな目的としている。当該年度においては、そのうち「WLBに関する組織風土」の構成概念に関して検討を進めた。 具体的にはまず、文献レビューによって、組織風土研究の潮流が、より焦点を絞ったアプローチへと変化してきていることを確認した上で、先行研究においてもWLBと組織風土(関連する概念を含む)との関係性について指摘されていることを概観した。さらに、WLBに関する組織風土やその周辺要因についての尺度を検討する先行研究として、対象が看護職に限定されている研究があることを踏まえ、介護職についてもその働き方の実態に即した「WLBに関する組織風土」について検討することの意義を確認した。 そして、これまでの研究過程において収集された量的データの分析を通して、介護職の「WLBに関する組織風土」の構成概念について改めて検討した。本研究課題の前提である質的研究においては、6つの構成概念(「働く人の多様さ」「良好なコミュニケーション」「周囲のサポート」「ロールモデル」「制度が利用しやすい雰囲気」「お互いさま意識」)が想定されていたが、下位概念として抽出されていた22項目を用いて探索的因子分析と確認的因子分析を行った結果、質的分析とは異なる内容の因子構造(3因子以下)が導かれる結果となった。WLB組織風土の構成概念について、より安定的な内容を精査するため、介護サービスの種類の違いによる働き方の特性や私的生活の多様性を正確に調査等に反映しながら、さらに検討を進めていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
質的データの蓄積のために、介護サービス事業所へのインタビュー調査を予定していたが、新型コロナウィルス感染拡大に関して状況の収束の見通しが立たず、実施に至らなかったためである。特に介護職場では、コロナ禍による影響が大きいことが推測され、利用者への感染予防や調査によるワーカーへの負担を防ぐこと等の観点から、調査実施の自粛がやむを得ない状況であったと考える。 しかし、文献レビューと、手元の量的データの分析によって、「WLBに関する組織風土」の構成概念に関する検討を進めた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の第1の目的である「WLBに関する組織風土」の検討については、当該年度における分析結果を基に、構成概念の内容の精緻化、さらにはWLB組織風土と他の変数との関連等に関して、インターネット調査(量的調査)を実施し、分析を行う。 そして本研究の第2の目的である「WLB支援に効果的なマネジメント内容」の検討については、これまでの研究過程において収集されている質的データを精査し、仮説の生成を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度においては、質的データ収集のためのインタビュー調査にともなう費用を計上していたが、新型コロナウイルス感染状況収束の見通しが立たず、実施することができなかったためである。質的調査については、感染拡大状況の変化を見ながら実施可能性を探りつつ、従来より2年目以降に予定していたインターネット調査(量的調査)に予算を追加することで、調査項目やサンプル数のさらなる充実を図る計画である。
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