本研究では、歴史資料と事実婚当事者への質的調査を通じて戦後日本において事実婚をめぐる「問題」がどのように語られ、構成されてきたのか、その変遷を明らかにした。生活史の調査法を用い、事実婚当事者16名への聞き取り調査を実施し、さまざまな年代の事実婚のデータを収集することができた。調査を通じて、日本社会における「家制度」や近代家族をめぐる規範の様相を確認できたこと、選択的夫婦別姓制度をめぐる現在の問題状況についての論点・枠組みをあらためて整理・明確化することができたことが主な研究実績として挙げられる。さらに、今後の婚姻制度がいかなるかたちで改革されるべきかについての方向性を示唆することができた。
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