研究課題/領域番号 |
21K13617
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研究機関 | 福岡県立大学 |
研究代表者 |
二見 妙子 福岡県立大学, 人間社会学部, 助教 (90757395)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | イタリアのインクルーシブ教育・保育 / インクルーシブ教育における加配専門員の位置づけ / 当事者運動の歴史 / インクルーシブ教育の授業内容や方法 / イタリア1971年118号法 |
研究実績の概要 |
令和3年度、科研費補助を受け充実した研究を行うことができた。 4月から5月には、イタリアの教育の歴史及び共同教育運動史について文献講読を行った。6月には、イタリアボローニャのインクルーシブ教育センターAEMOCONの副所長ALICEIMOLA氏にイタリアのインクルーシブ教育が発足する前後の歴史をお伺いする学習会をZOOMを使用し7月から8月に、この研究会の資料を分析した。 また、9月には、イタリアの障害当事者運動ANMICの1960年代後半から1970年代の歴史的な取り組みについて資料収集と翻訳に取り組んだ。 また、10月11月には、ALICEIMOLA氏の著作から、イタリアのインクルーシブ教育における「加配教員」の位置づけの変遷を把握することができた。そして、12月には、ZOOMを使用してAEMOCONのALICE氏らに障害児の保護者を支援するアソーシエーションの活動概要と高校から専門学校、自立へと向かう障害当事者のそだちについてお話を聞いた。歴史的に法制度が整えられ保障されてきたイタリアのインクルーシブ教育は、実践面においても、学外者を含めたチーム支援の仕組みが整備されており教育内容や方法に対する工夫もダイナミックに行われていることが分かった。また、これらの支援は当事者の意見を尊重した形で進められ、就労や地域生活の保障にもその視点は生かされている。比較することによってインクルーシブな視点からは日本の障害児教育や福祉の課題が明らかとなった。 これらを令和4年3月、これらを報告書にまとめた。今後は、さらに1971年前後の教育運動を具体的に調査したい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
ZOOMを活用したイタリア現地の専門家との交流が大変充実したものとなった。日本では入手しにくい歴史的事実やその資料文献等わかりやすく教えていただき、これらの翻訳など資料収集が思った以上に進展した。
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今後の研究の推進方策 |
1971年前後の障害当事者や保護者・及び教員の就学を求める運動について詳しい現地の研究者と関係が持てたので、この型を通じてさらに調査を深めたい。また、社会状況が許せば、ボローニャ市のアソーシエーション「AEMOCON」を訪問し、イタリアのインクルーシブ教育推進におけるアソーシエーションの役割について把握したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
現地訪問を計画していたが、諸条件により不可となったため次年度使用することとした。
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備考 |
報告書『イタリアのインクルーシブ教育に関する調査報告』(1)令和4年3月総94頁。二見妙子(編)。
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