研究課題
本研究は、イタリアの教育制度がインクルーシブ教育へと転換する1971年前後、現場の教師たちは何を考えていたのか、当時、インクルーシブ教育を求めた教師たちに出会い、その声を聞きたい、という思いから始めたものである。この3年間、科研費助成を得られ、大変有意義な研究を進めることができた。2021年度には、イタリアの教育制度の歴史的変遷と、インクルーシブ教育制度への転換についての資料を収取し、その読み込み作業を行った。イタリア社会の成り立ちやアソシエーションや社会的協同組合の歴史についても書籍から知ることができた。また、イタリアにて、インクルーシブ教育推進の立場から保護者や当事者を支援するアソシエーションAEMOCONの研究者に、イタリアのインクルーシブ教育の歴史と動向の概要について複数回オンラインで講話をいただき、本研究のテーマに近づくいくつもの示唆を得た。2022年度にはイタリアを訪問し、上記AEMOCONの研究実践に直接的に触れた。そのとき見せていただいたインクルーシブ教育推進を意識される音楽活動を考察した論文を作成することができた。また、カリアリ大学教授を訪問し、学生向けに日本のインクルーシブ教育の現状報告を行うに至った。同カリアリ大研究チームとは、本研究に関連する共同論文を作成することができた。最終年度の2023年には、より、原点の教育運動に迫るため、ローマおよびボルツアーノの当事者運動団体ANMICを訪問した。当事者運動が社会保障を促進し、親の会がインクルーシブ教育推進を求めてきた歴史を把握することはできた。しかし、当時の教師たちの動向を示す直接的な資料を手に入れるには至らなかった。今後の課題として、さらに研究を進めたい。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) 学会発表 (1件) 備考 (1件) 学会・シンポジウム開催 (1件)
公教育計画研究15
巻: 15 ページ: 8 25
『L’integrazione scolastica e sociale, n3-2023』
巻: N3-2023 ページ: 98 113
公教育計画研究14
巻: 14 ページ: 39 57
https://rivistedigitali.erickson.it/integrazione-scolastica-sociale/