本研究は、現在国際的に注目されるイタリア国がフルインクルーシブ教育を制度的に展開する1971年前後の教育運動について把握することを目的としてはじめたものである。この目的に到達するため、本研究では、まず、イタリアの教育制度史のみならず、アソシエーションの成り立ちや社会的協同組合の特徴を把握した。また、現地研究者より、1971年前後のイタリア社会の転換期の動向や教育改革を求めた運動の概要を知ることができた。また教育学そのものの転換が主張されていたことも知り得た。これらは、障害当事者による社会保障運動や親の会を中心とするインクルーシブ教育推進を求める運動と共に理解する必要があることも分かった。
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