研究課題/領域番号 |
21K13742
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研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
宮前 光宏 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子医科学研究所 脳機能イメージング研究部, 博士研究員 (20745872)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 認知行動療法 / 診断横断的 / 神経基盤 / 脳画像 |
研究実績の概要 |
本研究は、国内外でその有効性が実証されている認知行動療法のひとつである、うつ病・不安症・強迫症・心的外傷後ストレス障害などの感情障害に対する統一プロトコル(UP;精神療法の中でも認知行動療法に分類される介入方法)の有効性を裏付ける神経基盤の解明を目指している。具体的には、UP実施前後の感情障害患者の脳画像データを取得し、脳の構造的・機能的変化、特に安静時脳機能結合の変容に焦点を当てて検証する。 研究対象者は、20歳以上の成人で、不安障害・うつ病性障害患者であり、研究参加時点で統合失調症、物質使用障害など、UP実施の障害となる問題を有する者は除外する。取得する脳画像データは、T1強調画像、T2強調画像、安静時脳機能画像等を取得する。取得する心理データは、GRIDハミルトンうつ病評価尺度(GRID-HAMD)、診断横断的な疾患維持メカニズムの指標として不安感受性尺度(ASI)、感情調整スキル尺度(ERSQ)等である。症例数は、既存研究で取得したデータと合わせて、患者群100名、健常統制群50名を目標とする。 昨年度は3年計画の1年目であり、本研究を開始し、データ取得を進める計画であった。研究の進捗は当初の予定よりも遅れているが、昨年度中に本研究を開始することができ、既存研究で取得済みのデータと合わせて、合計91名(そのうち7名は昨年度取得)の感情障害患者の脳画像データおよび心理検査データを集積した。加えて、今後の解析に向けて、脳画像データの前処理およびその後の解析のコードを行なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
申請者の所属が申請時から変更となったため、本研究を遂行する環境を再構築する必要があったということと、新型コロナウィルス感染症対策のために研究参加者リクルートを一時停止する必要が生じた期間があったため
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今後の研究の推進方策 |
昨年度に再構築した研究体制のもと、データを着実に集積しつつ、最終的な解析に向けた準備(前処理、解析コードの確定など)を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究開始にあたって、解析を実施するための必要物品(PCや解析ソフトなど)に関しては、新たな所属先の設備を使用することで代替可能であったことや、研究体制の変更に伴い、脳画像撮像に伴う費用支払いが昨年度は不要であったこと、新型コロナウィルス感染症の蔓延に伴う研究進捗の遅延からデータ整理等を依頼する人員を雇用しなかったことなどから、次年度使用額が生じた。 次年度は、画像解析に関わる書籍の購入や、研究(健常統制群の画像データ取得)開始に伴う研究参加者への謝金支払い、得られたデータや資料の整理等を行う人員に対する人件費の支払い、得られた研究成果の発表のための費用(旅費、ポスター印刷等)を予定している。
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