研究課題/領域番号 |
21K13767
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
磯部 遼太郎 千葉大学, 大学院理学研究院, 日本学術振興会特別研究員(PD) (50897882)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 可換環 / Arf環 / Strict closure / weakly Arf環 |
研究実績の概要 |
本年度は,環のstrict closureとArf環に関する成果を挙げた。 環のstrict closureは1971年にJ. Lipmanによって導入され,Arf環との関係性が明らかにされていたが,その構成方法については1次元の場合であっても解析的不分岐の場合以外には発見されていなかった。また,既存の構成方法は抽象度が高く,実際に具体例を計算する上では非常に使いづらいものであった。本研究では,解析的不分岐の場合に限らず一般の1次元Cohen-Macaulay半局所環に対して,構成的なstrict closureの構成方法を考案し,これまで計算不能であった環のstrict closureを具体的に与えることに成功した。また,この構成方法を応用することで,strict closureが基礎環上有限生成となる条件を特徴付けている。本理論の前半部分は次元によらない議論を展開しているため,今後の研究で本理論の高次元化を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスの感染拡大が続いている影響で予定していた国内外の出張・研究打ち合わせが全て中止となったため,研究が予定よりやや遅れている。本年度使用予定であった研究費の大部分は来年度に繰り越す予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究では,以下の課題①,②に取り組む。 ①本年度の研究成果の前半部分は次元によらない議論を展開しているため,理論を精査し一般次元におけるstrict closureの構成法を確立する。 ②上記①の成果を応用して,超曲面環や正標数の環といった代数幾何学などの可換環論と関連する他分野において重要な環構造のstrictly closed性を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの感染拡大が続いている影響で予定していた国内外の出張・研究打ち合わせが全て中止となったので,自己で完結する研究に絞って研究を進めたため。所属機関が変更になることを考慮して,繰り越した金額は新たな研究設備を整えるために用いる。
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