研究課題
本年度は,昨年度までに構成したstrictly closed環やArf環に関する理論を精査しつつ,高次元の理論の構築を試みた。まず,1次元の環におけるstrict closureの構成方法とその有限生成性に関する論文を再編し,「Construction and finite generation of the strict closure of rings」のタイトルで投稿した。本論文は2024年9月にJournal of Pure and Applied Algebraより出版される予定である。また,Arf環上のreflexive加群の構造に関して,神代真也氏との共同研究にて構築した理論の精査を行った。続いて,Arf環およびstrictly closed環に関する結果を高次元のweakly Arf環上に拡張する試みを行った。高次元のweakly Arf環上のreflexive加群およびreflexiveなイデアルに関しては,局所化を経由することで,弱い条件の下で形式的な構造決定をする事ができた。より詳細な代数構造および加群圏の構造を明らかにすることが今後の課題である。本課題の研究機関全体を通して,①1次元のArf環上のイデアルや加群の構造論,②strict closureの具体的な構成方法の確立と有限生成性の特徴付け,③高次元weakly Arf環論の基盤作成の3つの成果を挙げた。高次元の理論はまだ初期段階であるが,本研究結果より,weakly Arf性よりもstrictly closed性に着目した方が1次元の理論を自然に拡張できると予想できる。
すべて 2024
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)
Journal of Pure and Applied Algebra
巻: 228 ページ: 107663~107663
10.1016/j.jpaa.2024.107663