研究課題/領域番号 |
21K13837
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研究機関 | 福知山公立大学 |
研究代表者 |
前田 一貴 福知山公立大学, 情報学部, 講師 (80732982)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ニュートン法 / 代数方程式 / 離散力学系 |
研究実績の概要 |
今年度はニュートン法に類似した離散可積分系の研究について成果があった.三次方程式に対するニュートン法の漸化式と類似した,解が具体的に書ける系についての研究を実施した.二次方程式に対するニュートン法の漸化式は,対象とする二次方程式を特性方程式とする三項間漸化式の一般解の比をとることで解を構成することができる.同様のことが,三次方程式の場合にも対応する四項間漸化式を考えることで可能である.ただし,二次方程式とは異なり,三次方程式の場合にはニュートン法そのものの漸化式ではなく分母の一部がnについてずれた方程式となるため,一つの漸化式では閉じず連立漸化式となる.また,二次方程式の場合は任意の初期値に対する解を与えることができるのに対し,三次方程式に対して構成した連立系では任意の初期値の解を与えることはできておらず,素朴な構成では初期値を漸化式に陽に含むような系を考えなければならないことがわかった.この任意の初期値に対する系も興味深いものではあるが,元々研究対象と考えていた連立系の任意初期値の場合の性質についてもう少し深く調べることが今後の課題である.さらに,解の性質についても収束先が予想通りになることは示すことができたが,考えている三次方程式が複素根を持つ場合のカオス的な挙動など,まだ調べなければならないことは残っている.研究課題名は双直交多項式と絡めることによる広がりも期待していたのだが,残念ながらまだその段階には至っていない. 以上の結果について,国内学会・研究集会で2件の口頭発表を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
代数方程式に対するニュートン法の可積分な類似物についての研究はある程度進めることができた.本来はもう1つのテーマである「対称帯行列の相似変換を与える離散可積分系の構成と解の漸近解析」についても並行して進める予定であったが,こちらについては特に進捗がなかった.
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今後の研究の推進方策 |
次年度は対称帯行列に関する研究にも着実に取り組んでいく.ニュートン法の研究については,論文投稿ができる程度にはまとまった結果を得ることを目指す.
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度もCOVID-19によりほとんどの学会・研究集会がオンラインになったため,旅費等に残額が生じた.次年度は可能ならば海外出張を予定している.
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