研究実績の概要 |
本研究の目的は、トーラスプラズマにおいて乱流伝播機構を実験的に明らかにすることである。このために、九州大学のPLATOトカマク装置に新規計測器を導入し、乱流の半径方向相関を計測することを目的としている。2年目となる令和4年度は、計測器の要となるガス入射装置の詳細設計並びに、電磁弁及びドライバの導入をおこなった。ガス入射装置は、トーラス装置のコイルとの干渉がないこと、磁力線とタンジェンシャルな視線を設置する上で視線積分効果をなるべく小さくなることなどの特性が求められる。要求を満たすため、CADを用いた詳細設計を行った。今後は、PLATOトカマク装置の実験進展に合わせて、計測器の導入を進める。 また、PLATO実験以外でも、LHDやJFT-2M装置で得られたデータの解析でも成果をあげた。以下に列挙する。(1) LHD装置で見られる、非接触ダイバータプラズマの自励振動現象をプレデタ・プレイモデルを用いて解析し、磁気島ダイナミクスの需要性を指摘した[T. Kobayashi et al., Phys. Rev. Lett. 128, 085001 (2022)]。(2) LHD装置の電子内部輸送障壁(ITB)の同位体効果を明らかにするため、重水素と軽水素でそれぞれ生成したプラズマの比較実験をおこなった。重水素プラズマでは電場構造が形成されやすく、(ITB)遷移が起こりやすいことを示した[T. Kobayashi et al., Sci. Rep. 12, 55o7 (2022)]。(3) JFT-2M装置において、電場構造とGAMの相互作用を解析した。LH遷移前の周辺電場揺動が、乱流伝播を介して非局所的にGAMの励起に影響を与える可能性を議論した[T. Kobayashi et al., Plasma Phys. Control. Fusion 64, 144002 (2022)]。
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