本研究は,氾濫原の洪水撹乱に対する地表性甲虫の垂直退避行動と種多様性の関係を明らかにすることを目的とした.氾濫原の地表性甲虫のピットフォールトラップ定期調査を月1回の頻度で行い垂直退避物の豊富な氾濫原においてAnisodactylus属の個体数と種数が増加している傾向があることを見出した.一方で秋繁殖のHarpalus属については初夏までは飛翔能力を有することから今回の研究期間の出水(8月)に対しては大きな影響を受けなかったものと考えられる.本研究により氾濫原における垂直構造物の有無が地表性甲虫の種多様性に影響することの示唆を得たものと考えている.
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