研究課題/領域番号 |
21K14294
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研究機関 | 国立研究開発法人建築研究所 |
研究代表者 |
西尾 悠平 国立研究開発法人建築研究所, 防火研究グループ, 研究員 (20793334)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 高温特性 / 中性子イメージング / コンクリート / 水分挙動 |
研究実績の概要 |
本研究は、鉄筋コンクリートの含水状態が加熱による付着劣化に与える影響を明確にし、最終的には受熱後の熱応力によって生じた内部のひび割れと、受熱後の付着強度の関係を明らかにすることを目的とするものである。受熱後の付着性能への影響要因としてコンクリートの含水状態を考慮し、コンクリートの構成要素の高温時力学特性、コンクリートの内部ひび割れ性状,そして、コンクリート内部の加熱中の水分状態と加熱後の鉄筋コンクリートの付着性能との関係について検討する。具体的には、各構成要素の高温時力学特性の取得、および中性子イメージングによる加熱中の水分挙動の取得を踏まえたうえで、有限要素法を用いた解析モデルを構築し、加熱中にモルタルと粗骨材層間に生じる熱応力および内部ひび割れを算出する。さらに、X線トモグラフィーを用い、内部ひび割れと付着性能の関係を明らかとし,上記の目的を達成する。 本年度は、京都大学研究原子炉(KUR)の中性子イメージング装置を用い、鉄筋コンクリートの試験体に対し加熱実験を実施し、加熱時におけるコンクリート内部の温度および含水量の経時変化について明らかにするとともに、加熱中のコンクリート内部の圧力変化を測定し、コンクリート内部の含水状態と水蒸気圧形成に関しても合わせて検討を行った。また、鉄筋コンクリートの試験体に対し、画像相関法を用い、加熱前後の鉄筋コンクリート試験体の変形挙動を2次元的に観察することを試みた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
中性子イメージング技術を用いた加熱中のコンクリート内部水分挙動およびコンクリート内部の圧力の測定に関しては、おおむね予定通り測定を実施できた。また、加熱中のコンクリートの変形挙動に関して、画像相関法を用いたコンクリートのひずみ測定を試行的に実施することができた。次年度に水分挙動と熱応力および内部ひび割れの関係について検討を行う予定であり、おおむね予定通りの進捗である。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、中性子イメージングによる加熱および加熱冷却中のコンクリートの内部水分挙動の測定を継続して実施し、加熱中のコンクリート内部温度と含水量の経時変化と共に、加熱中のコンクリート内部での水蒸気圧の形成と熱変形との関係についても合わせて検討を行う。また、前述の中性子イメージングによる加熱中の水分挙動を踏まえ、加熱中にモルタルと粗骨材層間に生じる熱応力および内部ひび割れを算出する有限要素法を用いた解析モデルを構築を検討する。
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