研究課題/領域番号 |
21K14469
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
金子 真大 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (60881191)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 磁性ナノ粒子 / リン脂質ポリマー / 原子移動ラジカル重合 / 表面開始重合 / マグネタイト / 温熱療法 |
研究実績の概要 |
本研究では、高い細胞親和性を有する2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)ポリマーの磁性ナノ粒子表面への修飾技術を利用し、粒子の表面構造と特性の関係理解と生内内で利用可能な高機能性磁性ナノ粒子の開発を目指した。 ポリマーの修飾法として、あらかじめ合成したポリマーを粒子表面へ被覆するgrafting to法と開始剤を粒子表面固定しポリマー鎖を成長させるgrafting from法を検討した。 grafting to法では、カルボキシ基を有するモノ-2-(メタクリロイルオキシ)エチルコハク酸とMPCの共重合体(PME)、カテコール基を有するドーパミンメタクリルアミドとMPCの共重合体(PMD)を合成し、マグネタイトナノ粒子への表面修飾を行った。熱重量測定およびFT-IR測定の結果、いずれのポリマーを用いた場合も粒子表面へのポリマーの修飾が確認された。PMDを用いて修飾を行った場合の方がPMEを用いた場合に比べ修飾率が大きく、PMDにより修飾されたマグネタイトナノ粒子はPBS中でより高い分散安定性を示した。これは、カテコール基がカルボキシ基に比べマグネタイト表面への結合能力に優れていたためだと考えられる。 grafting from法では、シランカップリング剤を利用して原子移動ラジカル重合(ATRP)の開始基をマグネタイトナノ粒子表面へ固定し、表面開始ATRPにより粒子表面にMPCポリマー層を構築した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
grafting to法およびgrafting from法によりマグネタイトナノ粒子表面へリン脂質ポリマーを修飾する手法を確立した。特に、カテコール基を有するPMDによるgrafting to法と表面開始ATRPを利用したgrafting from法により、粒子表面に安定なポリマー層を構築できることを確認した。
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今後の研究の推進方策 |
表面開始ATRPにより種々のポリマー鎖長を有するMPCポリマー被覆マグネタイトを合成し、 ポリマー鎖長と分散安定性、生体分子に対する吸着特性との関係等について検討する。また、合成した磁性ナノ粒子の機能性評価として、交流磁場照射によるがん温熱治療への応用を試みる。担がんモデルマウスに対して磁性ナノ粒子を血中投与し、粒子の表面構造が体内動態および温熱治療効果に与える影響を検討する。必要に応じて粒子表面にがん抗体や機能性ペプチドを固定し、機能発現を評価する。
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