典型元素と有機物からなる発光性錯体は、リン光や刺激応答性などの優れた機能を有する。従来、典型元素錯体の光物性制御は、主にキレート配位子と呼ばれる有機パイ電子系の修飾によって実現されてきた。一方、非キレート配位子と呼ばれる金属上の置換基による物性制御のための指針は体系化されてこなかった。そこで本研究では、キレート配位子と非キレート配位子間の電子的相互作用を用いた錯体の物性制御の新手法を確立することを目指した。本研究を通じて、配位子間のエネルギー差や立体電子効果、金属との共有結合性に着目することで、キレート配位子と非キレート配位子との相互作用を調整し、発光性錯体の物性制御が可能になることを示した。
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