環状高分子は、分子内に末端を持たないモデル高分子であり、その構造と物性の相関解明は高分子物性学における重要課題である。本研究では当初、環状高分子の流動下における非平衡構造とダイナミクスの理解を目指したが、環状高分子中に含まれる線状鎖が粘弾性に与える影響の精査が必要であると判断し、その追究を主に行った。高分子量線状ポリスチレン(PS)に、低分子量線状PS、環状PS、ダンベル型PSをそれぞれ混合し、その粘弾性スペクトルの形状変化より、線状鎖が環状鎖中にエンタルピー 駆動で自発的に貫入する分子描像を確認した。
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