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2021 年度 実施状況報告書

ウイロイドにおける干渉効果成立条件の解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K14846
研究機関山形大学

研究代表者

鍋島 朋之  山形大学, 農学部, 准教授 (10801920)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワードウイロイド / トマト / 防除
研究実績の概要

干渉効果とは,ある種のウイルスの感染がその後の同種ウイルスの感染を阻害する現象である.本研究課題は植物における病原性RNAであるウイロイドにおいて,干渉効果を防除に利用する技術の開発を目的とし,ウイロイド同士の干渉効果が成立する条件を解明することを目指すものである.具体的には,キク矮化ウイロイド(CSVd),Coleus blumei viroid(CbVd)およびCSVdとCbVdのキメラウイロイドを用いた競合接種試験を行い,干渉効果が成立する接種タイミングや接種配列の組み合わせを検討する.本年度はCSVd,CbVdおよびキメラウイロイド接種のための人工接種源の制作と,ベンサミアナタバコを用いた接種試験を行い,作成した接種源がベンサミアナタバコに感染することを確認し,それぞれのウイロイドが全身感染するタイミングを把握した.また,ウイロイドの人為的接種を園芸作物に応用する準備として,トマトにおける弱毒ウイロイドの選抜と種子伝染性の調査を並行して実施し,1種2系統の弱毒ウイロイド候補を得た.これらに感染した‘フルティカ’から種を採取して発芽させ,実生においてPCR検定を実施したが,共試した全ての実生においてウイロイドの感染を確認することができず,これら2系統は‘フルティカ’では種子伝染しないと考えられた.トマトにおいて種子伝染する弱毒ウイロイドの探索は来年度も引き続き実施するが,本年度に選抜した1種2系統は今後に実施予定の接種試験において利用可能なものだと判断された.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

CSVd,CbVdの全長配列を左腕部,中央部および右腕部に分解し,それぞれを組み合わせた2^3=8通り(うち2通りはCSVdあるいはCbVdのオリジナル配列)の接種源を作成し,ベンサミアナタバコに接種した.CSVdおよびCbVdを接種した植物体では接種1週間後から上位葉で安定してウイロイドが検出された.一方で,6種のキメラウイロイドは全て上位葉で検出できたものの,接種した全個体で安定して検出されたのは接種から2週間目以降であり,オリジナル配列よりも感染成立が遅いと考えられた.今後,競合試験を実施する上では,キメラウイロイドの感染の遅さを考慮に入れて実験を進める必要があると考えられた.3品種のトマト(‘フルティカ’,‘Micro Tom’,‘レジナ’)に8種16系統のウイロイドを接種し,大きな病原性は示さなかったものの,接種後にPCR陽性が確認できた1種2系統を弱毒ウイロイドの候補として選抜した.ベンサミアナタバコを用いた実験については当初計画よりもやや遅れている一方で,トマトの実験では2023年度に用いる系統の候補を予定よりも早く確保することができた.2022年度は当初計画よりも,ベンサミアナタバコを用いた実験に比重を置けば,計画全体の進行に問題は無いと考えている.

今後の研究の推進方策

2022年度はベンサミアナタバコにおいて迅速に感染が成立したCSVdおよびCbVdを用いた競合実験を中心に,干渉効果成立条件の解明に向けた実験を進める.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] High-Throughput Sequencing Indicates Novel Varicosavirus, Emaravirus, and Deltapartitivirus Infections in Vitis coignetiae2021

    • 著者名/発表者名
      Nabeshima Tomoyuki、Abe Junya
    • 雑誌名

      Viruses

      巻: 13 ページ: 827~827

    • DOI

      10.3390/v13050827

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] First report of grapevine Pinot gris virus in wild grapevines (Vitis coignetiae) in Japan2021

    • 著者名/発表者名
      Abe Junya、Nabeshima Tomoyuki
    • 雑誌名

      Journal of Plant Pathology

      巻: 103 ページ: 725~725

    • DOI

      10.1007/s42161-021-00800-w

    • 査読あり

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公開日: 2022-12-28  

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