本研究では、都市に植栽されるカンヒザクラとその系統の衰退要因を調査した。圃場実験で滞水区では成長が抑制され、排水区では良好な成長が見られた。また、現地調査で土壌の気相率と衰退度には負の相関があり、液相率と土壌表面硬度には正の相関があった。これにより、排水不良がカンヒザクラ(系統)の生育に負の影響を与えることが示された。さらに、カンヒザクラ(系統)は従来暖地が適地とされ、冬の低温が衰退要因となる可能性がある。糖分蓄積の季節的変動を分析した結果、ある程度の耐寒性は有すると考えられたが、衰退個体では糖分量が低い傾向があった。これらから、良好な排水環境と冬季の低温対策が重要であることが示唆された。
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