光合成藻類を細胞内に保持し栄養的に相互依存する「光共生」は,温暖で貧栄養な海域で適応的な生態であり,環境変動に対する応答を理解することは重要である.本研究では,光共生する浮遊性有孔虫を対象に,高水温下における ①温度耐性,②光合成生理状態の変化,③共生藻組成の変化 を検証した.その結果,32℃までは水温によらず健全な共生系を維持できること,共生藻組成は温度による影響を受けないことが明らかとなった.一方で,共生藻を単離状態におくと,30℃で成長を停止してしまうことも判明し,共生という状態が藻類にとって,環境ストレスに対するシェルターの役割をしている可能性が示唆された.
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