本研究で得られた結果は、社会性行動といった高次脳機能に性特異的な役割を果たすマイクロプロテインAkain1が生体内のどこでどのようなシグナル制御に関与するかを示すものである。また、Akain1 欠損によって行動表現型には雌雄差が認められたが、遺伝子発現レベルでは雌雄で共通するシグナル制御に関与する可能性が示唆された。今後、これらのシグナル経路とAkain1によるPKA局在制御、そして行動表現型がどのように関連するかを明らかにすることができれば、PKA シグナル伝達の全容の理解とPKA-AKAP シグナル伝達の破綻を要因とする疾患の病態解明及び治療標的の探索へ大きく寄与することが期待される。
|