研究課題
本研究では、多様なロドプシン分子の新奇的な性質を生かした革新的な光操作技術の開発を行う。すなわち、申請者らが解析してきた/見出したロドプシンの新奇的な性質を活用することで、動物細胞や個体における様々な生命応答を自在に光操作できる技術基盤を創成する。そのため、交付申請書に記載した実験計画に沿って、「分子特性の理解・改変と最適化」と「分子特性の動物細胞・個体への適用」を進めてきた。「分子特性の理解・改変と最適化」に関しては、以下の(1)~(2)に成功した。(1)好熱性細菌由来のロドプシン分子(BeNaRと命名)を対象に、分光学的・生化学的解析を行った。その結果、BeNaRは外向きのNa+ポンプロドプシンとして機能し、既存のNa+ポンプロドプシン(KR2)よりも活性が2.5倍大きいことが分かった。そのため、BeNaRは、Na+濃度を光制御する光遺伝学ツールとして、高い有用性を持つと考えられた。(2)単細胞藻類由来のロドプシン分子(VbACR2と命名)の分子解析を行い、青色感受性のアニオンチャネルとして働くことを示した。VbACR2は、既存のアニオンチャネルロドプシンの中でも、最も短波長側の光を吸収する分子であるため、新しい青色感受性の神経抑制ツールとして有用であると考えられた。「分子特性の動物細胞・個体への適用」に関しては、以下の(1)~(2)に成功した。(1)外向きプロトンポンプロドプシンを多様な哺乳類培養細胞(HEK, PC-12など)に発現させ、長時間(秒~分)スケールの膜電位変化のリアルタイムイメージングができる光観察技術を作出した。この技術を用いることで薬物誘導性の膜電位応答の観察に成功した(2)昨年度までに開発した「外向きプロトンポンプロドプシンを用いた光細胞死誘導法」をがん由来細胞へと適用し、これらの細胞も光で細胞死を誘導できることを実証した。
すべて 2023 2022
すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 1件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (14件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件) 産業財産権 (1件) (うち外国 1件)
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