研究課題/領域番号 |
21K15146
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
北之坊 誠也 筑波大学, 下田臨海実験センター, 研究員 (40899291)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ミドリイシ属サンゴ / 生殖 / 雑種種分化 / 交雑 / 遺伝子流動 / 放卵放精 / 多種同調産卵 |
研究実績の概要 |
本研究は、同所的に生息し、多種同調産卵するミドリイシ属サンゴの生殖様式に着目して、現生ミドリイシ属サンゴにおける野外での受精状況および異種間交雑頻度の検出や子孫の遺伝的多様性の変化を解明することを目的としている。令和3年度は、1) 野外で受精状況の確認、2)次世代シークエンサー解析のためのDNA抽出条件の検討、3) 抽出したDNAを用いた次世代シークエンス解析を行った。 1) 野外に生息するサンゴの産卵時刻・産卵時の配偶子量を調査し、実際の産卵状況を調べた。瀬底島南周辺海域において2021年5月23日は、8種のミドリイシ属サンゴの産卵を確認した。産卵時刻は、19:41分から22:29分までで調査海域の産卵している種は、調査海域のほぼ全ての群体が産卵した。5月24日は、産卵している群体は観察されなかった。2) 異種間交雑の頻度、次世代の遺伝的多様性の変化等を明らかにするため、配偶子のDNAを抽出し、次世代シークエンサーを用いたゲノム解析を行う予定である。そこで、DNA抽出条件の検討を行った。サンゴ精子を用いてカラム精製をすることで効率的にDNAを抽出することに成功した。3)抽出したDNAを用いて次世代シークエンス解析を行なった。その結果、合計で約2億6677万ペアリード、平均133万ペアリードのデータが得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
野外調査より、海中に放出される配偶子量は、時間によって変化し、22:08以降には受精最適濃度と考えられる1×106sperm/mlの濃度を維持することを明らかにした。しかしながら、野外で回収した配偶子は多種が混在することが予想されるため、今後のゲノム解析によって、次世代の遺伝的多様性を明らかにする必要がある。今年度、得られたシークエンス解析結果を用いて、現在遺伝子解析を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度は、ミドリイシの生殖隔離と種分化の関係を解明するため、遺伝子解析を用いた種間の遺伝子流動等の詳細を明らかにする。既に多種ミドリイシの精子から抽出したDNAから次世代シークエンスデータは取得済みである。そこで、次世代シークエンス解析データを用いた遺伝子流動等の解析を行い、多種同調産卵するミドリイシ属サンゴの交雑の進化についての解明を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度、DNA解析に必要十分なDNAの質が得られないサンプルがあり、それに伴い次世代シークエンス解析に使用する予定を先送りし次年度に再度行う必要が生じたため
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