植物-植食昆虫-寄生蜂の生物間相互作用は世界中でみられ、これらの進化史を解明することは、生物多様性創出・維持機構の解明に不可欠である。クロマメゾウムシはハマエンドウの種子に寄生するが、種子の発芽にも寄与する。また、寄生蜂がこの昆虫に寄生すると、種子の発芽率は上昇する。これらの昆虫は、植物の世代更新や群集の安定に寄与するが、攪乱環境の海浜で3者の関係がどう維持されているかは不明である。本研究では、海流散布種子に寄生する昆虫を系統地理解析することで、昆虫が種子と共分散することを明らかにした。海浜環境の劣化が懸念される今日において、本研究は海浜の生物群集の理解を深め、保全研究の基礎的知見となった。
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