研究課題
夜行性だった霊長類の祖先は、昼行性の果実食者へと進化したことで熱帯雨林での繁栄を手にしたとされる。しかし真猿類が昼の世界に現れた頃、「樹冠の食卓」にはすでに大型鳥類や小型ネコ類がいた。新参者の真猿類はどのように彼らとすみ分け、さらには数で勝ることができたのだろう?本研究では、「真猿類は果実が多い樹冠中層部の枝先を独自の採食空間として占有している」という仮説をカメルーン熱帯雨林で検証する。樹冠果実の三次元マップ、果樹下での行動観察、自動撮影カメラによって、各動物種の採食行動を徹底的に調べる。これにより果実食者間の採食空間ニッチの違いを解明し、真猿類繁栄のメカニズムを探る。本年度は、予定していた海外調査がコロナ禍の影響で実施できなかったため、研究計画の練り上げと関連研究の渉猟を行った。日本霊長類学会大会、日本ワンヘルスサイエンス学会、日本哺乳類学会、日本生態学会の大会に参加し、幅広い分野の研究者・専門家と議論を重ねることで、霊長類の熱帯雨林での繁栄における採食空間ニッチの重要性についての考察を洗練させた。また、調査と分析に当たっての方法論的な詳細を修正した。これら本年度にまとめた計画をもとに、2022年度に調査を実施する予定である。カメルーン熱帯雨林の結実期に現地に渡航し、計画していたデータを収集して予備的な解析をおこなって国内外の学会で発表するとともに、それ以降の調査・分析・執筆計画についての計画を立てる。
3: やや遅れている
本年度は予定していた調査がコロナ禍の影響で実施できなかったため、計画と比べて進捗状況はやや遅れている。しかし、この国内での期間を活用して様々な研究者と議論したり文献を渉猟したりしたことで、調査と分析の計画を洗練させることができた。
まずは2022年度7-8月にカメルーンに渡航し、延期していた調査を実施する。帰国後データを分析して予備的な結果を年内に得る。必要に応じて2回目以降の調査渡航を行ったうえで、2023年度以内に速やかに成果をまとめる計画である。
本年度計画していた調査ができなかったため、おもに自動撮影カメラの購入とカメルーン渡航に関する経費に関して、次年度使用が生じた。これらは2022年度に調査を実施することで使用する計画である。
すべて 2022 2021 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (4件) 備考 (1件)
Journal of Mammalogy
巻: 103 ページ: 159~168
10.1093/jmammal/gyab141
Scientific Reports
巻: 12 ページ: 2011
10.1038/s41598-022-05853-0
https://sites.google.com/view/shunhongo/home