研究実績の概要 |
CHIR99021、Dorsomorphin、Forskolin、ISX-9、Y27632、DB2313の6剤の脳卒中に対する治療効果を調べるために、CB-17脳梗塞モデルマウスを用意した。マウスは0日目に左中大脳動脈を電気凝固により永久閉塞させた.マクロファージの集積が最も密になる6日目に、6種類の低分子化合物(CHIR99021 0.75μg, Dorsomorphin 0.40μg, Forskolin 2.1μg,ISX-9 0.35μg, Y27632 1.69μg, DB2313 0.18μg)のカクテルを虚血部位に直接頭蓋内注射でマウスに投与した。13日目、DMSO投与群と比較して、薬剤投与群では梗塞部位のIba1+/TMEM119-細胞が有意に減少し、TUJ1+/DCX+細胞が有意に増加した.このことから、虚血領域のマクロファージが神経細胞に変換されていることが示唆された。これらの6種類の薬剤を全身投与することで、虚血領域のマクロファージの神経細胞への分化も誘導できるかどうかを検討した。薬剤カクテル(CHIR99021 1.1μg/g, Dorsomorphin 0.60μg/g, Forskolin 2.87μg/g, ISX-9 0.49μg/g, Y27632 2.37μg/g, DB2313 0.25μg/g)の腹腔内注射を6日目から20日目まで毎日行った。20日目の脳組織を免疫染色したところ、梗塞領域内側に新たなMAP2陽性層が出現し、皮質の再生が示唆された。この新しい皮質層は、TUJ1+の虚血領域に限定されていた。また、梗塞領域のCD206+細胞の数は著しく減少しており、マクロファージが神経細胞への直接リプログラミングに消費されたことが示唆された。さらに、運動-感覚機能を評価したところ、低分子化合物を投与したマウスは有意な神経学的改善を示した。
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