社会環境から受けるストレスは、抑うつなど認知情動変容を誘導し、精神疾患のリスク因子となる。これまでの研究から慢性ストレスではミクログリアの活性化に端を発した脳内炎症が生じることが示されているが、その実態には不明な点が多い。本研究では、多様な脳領域のミクログリアを解析するための手法を確立した。さらに、エピゲノム解析及び遺伝子発現解析を駆使して、ミクログリア活性化に関わる複数の情報伝達経路とその遺伝子発現応答を同定し、それらが反復社会挫折ストレスによる情動変容に関与することを見出した。以上の成果は、ミクログリアがストレスによる複数の情報伝達経路を統合し、情動変容を促す可能性を示唆する。
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