研究課題
アレルギーの根治療法であるアレルゲン免疫療法を行った個体においては、抗原特異的に炎症を抑制する type 1 regulatory T (Tr1) 細胞が誘導され、抗原に対する免疫寛容が成立する。生体内において抗原特異的Tr1細胞を効率的に誘導することができれば、アレルギーの早期根治が期待できるが、その誘導薬物は皆無である。エクソソームは、宿主細胞由来のmRNAならびにタンパク質を含有した膜小胞であり、細胞間コミュニケーションに利用される。どの分子がエクソソームに封入されるかは細胞内における発現量に依存する。また、樹状細胞は、活発にエクソソームを分泌する免疫担当細胞であり、それ由来のエクソソームは、宿主細胞が貪食した抗原の運搬能、他の抗原提示細胞に対する向性、ならびに抗原特異的T細胞誘導能を有する。上記知見より、Tr1細胞誘導性サイトカインを高発現させた樹状細胞を抗原刺激することにより得られるエクソソーム(Tr1細胞誘導性エクソソーム)には、Tr1細胞誘導性サイトカインおよび抗原が含有されると考えられる。そこで、本研究では、上記樹状細胞由来エクソソームの特徴に着目し、Tr1細胞誘導性エクソソームを作製し、そのTr1細胞誘導能ならびに抗アレルギー作用を詳細に明らかにすることを目的とした。まず、Tr1細胞誘導性エクソソームの作製を行うために、Tr1細胞誘導因子であるIL-27高発現樹状細胞株の樹立を試みた。マウス樹状細胞株にレンチウィルスを用いてIL-27遺伝子をトランスフェクションすることで、IL-27遺伝子の発現量を約15倍高めることに成功した。さらに、樹立したIL-27高発現細胞株由来のエクソソームにおいては、IL-27の構成因子の一つであるEBI3が、コントロールに比べて3倍多く含有されていた。今後、Tr1細胞誘導性および抗アレルギー性を明らかにする必要がある。
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