薬の効果には個人差のあることが一般的に知られているが、腸内細菌叢の違いが薬の効果にどのような影響を及ぼすのか探求する研究はほとんど行われていない。本研究では、腸内細菌との関わりが深い漢方薬について、緩下薬として頻用される大黄甘草湯の下剤効果と食習慣による腸内細菌叢の違いとの関連性について、腸管免疫応答とそれらを制御する短鎖脂肪酸の解析から一端を明らかにすることができた。また、本研究から漢方薬・腸内細菌叢・腸管免疫応答の3因子による複雑な関連性を紐解くことで、先人達の経験則に基づいた「証」の科学的解明に近づけると確信している。
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