研究課題
若手研究
本研究はDDS によるがん治療の実現に不可欠な低分子抗がん剤の腫瘍移行性に関する正確な情報を明らかにすることを目的に、より生体に近い環境で高分子ミセルからの薬物放出性および腫瘍滞留性を評価可能な分析手法を確立した。加えて、担癌ラットと腫瘍マイクロダイアリシス法を組み合わせた体内動態分析手法を活用することで、高分子ミセルに担持された抗がん剤に焦点を当てた薬物動態解析が実施でき、DDS技術の機能対効果を評価可能とするPK/PDモデルの確立に成功した。
薬物動態
我々が考案した分析手法を活用することで、これまで解析が困難であった薬物キャリアに担持された低分子抗がん剤の腫瘍移行性に関する正確な速度論的情報の取得が期待できる。こうした薬物キャリアではなく担持された低分子に焦点を当てた速度論的情報は、DDS機能を客観的に評価するパラメータとして活用でき、DDS開発を加速させる方法論になり得る。以上のように、高精度なPK/PDモデルの構築を目指す本研究はDDS技術の機能対効果を多角的に評価可能にし、DDSの臨床応用へ向けた橋渡し研究への活用が期待できる。