本研究では、申請者グループ開発の一酸化窒素(NO)徐放剤(NPB)と、がん指向性に優れるヒト血清アルブミン(HSA)を結合させた、がん指向性NO徐放剤(HSA-NPB)の開発に取り組んできた。がん組織にNOを特異的かつ持続的に作用させ、がん組織の血流の持続的な増大による薬物集積性と治療効果の増強を企図した薬剤である。まずHSA-NPBを作製し、NO徐放性を確認した。担がんマウスに、高分子化抗がん剤と同時投与すると、単独時より高い治療効果が得られた。本研究の成果は、高分子化抗がん剤と併用するだけで、そのがん組織集積性や治療効果を増強する、新規がん治療戦略の開発につながると期待される。
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