研究課題/領域番号 |
21K15333
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
菅原 太一 熊本大学, 大学院先導機構, 助教 (30758412)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 血液精巣関門 / 密着結合 / 上皮バリア / アンギュリン-1 |
研究実績の概要 |
血液精巣関門の主要構造である密着結合は、細胞間隙における物質透過を制御し上皮バリア形成に寄与する。セルトリ細胞が形成する密着結合は、造精細胞を免疫系から隔絶する免疫学的バリアとして作用することによって精子形成に寄与すると考えられているが、その仮説は未だに実証されていない。本研究の目標は、セルトリ細胞が形成する密着結合が精子形成に必須かどうか、必須であればどのように精子形成を制御するのかを明らかにすることである。本研究においては、3つの上皮細胞が接する角の領域(3細胞結合部位)の細胞間隙を塞ぐことによって、上皮バリア形成に寄与する膜タンパク質アンギュリンに着目して研究を進めている。免疫蛍光染色を行うと、3つのアンギュリンサブタイプのうちアンギュリン-1が精巣に発現し、密着結合領域に局在することがわかった。他の2つのアンギュリンサブタイプと、アンギュリン同様に3細胞結合部位に局在する膜タンパク質トリセルリンは精巣に発現しないことを免疫蛍光抗体法により確認した。また、他の研究グループが行ったRNA-seqの結果(BMC Genomics, 2017, 18(1):972)を解析すると、アンギュリン-1が主としてセルトリ細胞に発現する3細胞結合の構成分子であることが示唆された。現在、アンギュリン-1欠損による上皮バリア機能の異常が精子形成に与える影響を調べるために、セルトリ細胞特異的にアンギュリン-1を欠損させたマウス(アンギュリン-1 cKOマウス)を作製している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
アンギュリン-1 cKOマウスを作製するために必要な遺伝子改変マウスを凍結精子から作製するまでに、予定よりも多くの時間を要したため。
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今後の研究の推進方策 |
アンギュリン-1 cKOマウスを作製後、次の4項目について重点的に調べ研究を推進する。①精巣におけるアンギュリン-1の詳細な局在を明らかにするとともに、アンギュリン-1 cKOマウスにおける密着結合の構造を形態学的に調べる。②アンギュリン-1欠損による上皮バリア機能への影響を調べる。③アンギュリン-1 cKOマウスの造精機能について組織学的に調べる。④アンギュリン-1が免疫学的バリア形成に寄与するかどうか調べる。
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次年度使用額が生じた理由 |
マウスの飼育数が予定よりも少なかったので未使用額が生じた。また、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、当初参加を予定していた学会がWeb開催へと変更になったため旅費の使用が無くなった。未使用額は次年度の消耗品購入費とする。
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