研究成果の概要 |
我々は胃癌におけるAnnexin A10 (ANXA10)に関連した新規治療標的探索を行なった。胃癌細胞株の一つであるMKN-74に対し、CRISPR-Cas9システムを用いたゲノム編集を行い、ANXA10のノックアウトを行った。ノックアウトによるANXA10タンパク発現低下をウエスタンブロットにより確認したのちに、RNAを抽出してマイクロアレイ解析を行った。マイクロアレイ解析ではノックアウトによりMAPKに関連した分子などが変動しており、CLDN1, KRT80, RBCK1, SLC7A5といった下流分子が同定され、それらの分子は公共データベース解析において胃癌の予後不良因子であった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究成果は胃癌におけるAnnexin A10 (ANXA10)発現により、その下流においてCLDN1, KRT80, RBCK1, SLC7A5などの分子と関連していることを明らかにした。さらにそれら4つのタンパクは公共データベースにおいて胃癌の予後不良因子であることも明らかにした。胃癌は依然として不均一性の高い癌腫であり、その病態は非常に複雑である。そして胃癌が発生して進行するとその不均一性から化学療法耐性化が起こりやすい。その中で、これらの成果は胃癌の病態の一端を明らかにするとともに、新たな治療標的薬を創生する基盤となる知見である。
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