キメラ抗原受容体-T細胞療法(CAR-T細胞療法)は、血液がんに対して効果を発揮している一方で、固形がんに対してはその開発に未だ成功していない。その理由の一つに、がんに特異性の高い細胞表面抗原の欠如がある。我々は、独自に単離した多発性骨髄腫特異的抗体R8H283の骨髄腫特異性の原因を明らかにした上で、1)R8H283が肺がんに対してもがん特異的結合を示すこと、2)R8H283を元に作製したCAR-T細胞が肺がん細胞に対して抗腫瘍効果を示すことを明らかにした。これらの結果は、R8H283が認識する抗原が肺がんに対するCAR-T細胞療法の新たな治療標的となり得る可能性があることを示唆している。
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