研究課題/領域番号 |
21K15678
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
石川 英洋 三重大学, 医学系研究科, リサーチアソシエイト (00793499)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 脳アミロイド血管症 / 大脳白質病変 / 脳小血管病 / BCAS / 慢性脳低灌流 / 血管性認知症 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、脳アミロイド血管症(CAA)モデルマウスを用い、アミロイドβ排出路障害のメカニズムを明らかにすることである。慢性脳虚血負荷を行うことで、脳小血管病がアルツハイマー病に及ぼす影響とインフラマソームの関与をあわせて評価する。動物/細胞レベルで検討し、創薬ターゲットとなりうる機序の特定を目指す。 本研究計画は、18か月齢で脳内に多発微小出血を認めることが知られているCAAモデルマウスを用いるため、中年期以降の野生型マウスが対照群となる。 両側総頚動脈にマイクロコイルを巻きつけて狭窄させ、慢性脳低灌流を負荷するBCAS(Bilateral carotid artery stenosis)手術は、生後10週齢のマウスにおいてworking memoryが低下し、皮質下白質の病理変化を来すことが知られるが、中年期以降のマウスに関しては十分なエビデンスがない。本研究計画は、CAAモデルマウスと野生型マウスにBCAS手術を行い、無菌性炎症を惹起する蛋白発現の差異を明らかにすることを目的とするが、従来のBCASモデルと同様に中年期以降の野生型マウスでworking memoryの低下や病理学的変化を示すかの検証を要した。 12か月齢を超えるマウスを用いて、雄のC57bl/6JをBCAS群(n=8)、Sham(n=8)に分けてY-maze、Novel object recognition test(NORT)を行った。BCASあるいはSham手術を行い、1か月後にY-mazeテスト、NORTを評価した結果、BCAS群、Sham群で有意な差は得られなかった。加齢による認知機能低下がすでに存在する場合は、慢性虚血負荷の影響を検出しにくい可能性が考えられた。アミロイドβ蛋白排出経路障害や無菌性炎症に関与する蛋白発現の変化とあわせ、さらなる検証を要する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
CAAモデルマウスを用いた実験計画を開始する前に、中年期以降の野生マウスにおけるBCAS(bilateral carotid artery stenosis)手術の効果を確認する必要があったため。
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今後の研究の推進方策 |
若年マウスと中年期以降のマウスで認知機能を評価するとともに、中年期以降のマウスに関してはコンピュータによる自動トラッキングを導入して移動速度や軌跡など複数のパラメーターでBCASの影響を詳細に評価する。 野生型およびCAAモデルマウスを用いて、BCAS手術後の認知機能の変化、蛋白発現の変化を検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験計画の遂行にやや遅れが出ており、必要な試薬の購入が次年度にずれたため。次年度以降に使用する予定である。
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