研究実績の概要 |
50歳以上の健診受診者11,362名に対するレビー小体病のprordomal症状に関するアンケート調査の結果から、約8%が自律神経障害、嗅覚低下、RBDのうち2つ以上のprodromal症状を有するハイリスク者に該当することが明らかとなった 質問紙によって抽出したハイリスク者94名とローリスク者38名に対し、DaT SPECTやMIBG心筋シンチグラフィなどを含むレビー小体病に関する二次精査を実施した。その結果、DaTとMIBGのどちらか1つ以上で異常を有する者はハイリスク群で35名(37.2%)、ローリスク群で3名(7.9%)であり、ハイリスク者では神経症状出現前から体内の神経変性が進行しておりprodromal期のレビー小体病患者に該当することが明らかとなった。 質問紙によるハイリスク者抽出の再現性を検討するため、愛知県大府市の高齢健常者コホートでアンケート調査を実施し、5263名から回答を得た。その結果、特に70歳以降で便秘や排尿障害などの自律神経障害、嗅覚低下を有する割合が増加し、70歳以上の約12%がハイリスクに該当することが明らかとなった。レビー小体病などの神経変性疾患は加齢とともに罹患率が上昇することが知られており、年齢が上がるにつれてハイリスクに該当する者の割合が増加するという今回の調査結果と矛盾しないものであった。 自覚症状のない者は病院を受診しないため、神経症状のないハイリスク者を通常診療で同定することは困難だが、健康診断制度と連携したレジストリを活用し、DaT-SPECTやMIBGなどの詳細な画像検査を実施することで、神経変性疾患・認知症の発症リスク評価が可能であることが示された。
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