心臓専用半導体SPECT装置の呼吸性移動による病変検出能について擬人化心臓ファントムを用いて検証した。心筋前壁および下壁に病態を模擬した場合は,静止させた欠損描出能をリファレンスとしたときに,病変の広がりおよび深さともに過大評価した。一方,中隔および側壁に病変を模擬した場合,呼吸性移動が頭尾方向への移動量が多いことから,正常心筋部分が欠損部分に混入し,欠損描出能は過小評価した。それは,頭尾方向の移動量が増加するほど顕著だった。 Tc-99mおよびI-123の心筋二核種同時収集において,I-123からのダウンスキャタがTc-99mに混入し,画質劣化を及ぼしていたので,その影響を評価した。高い投与量比の時は,Tc-99mの心筋画像は散乱線補正を実施することで,概ね良好な画質を維持することができたが,投与量比が低い時に,散乱線補正を実施すると過補正となり,下側壁部の心筋集積が正常分布より低下し,偽欠損様の画像示した。しかし,平滑化フィルタや逐次近似再構成パラメータの調整によって改善傾向がみられた。 臨床例を用いて,Tc-99mおよびI-123の心筋二核種同時収集を実施し,画像評価を行った。従来は低い投与量比で実施していたために,下側壁のアーチファクトが目立ったが,投与量比を高くすることによって改善傾向がみられた。さらに,低い投与量比の時に,画像処理条件を変更することによって改善傾向がみられ,これらの関係はファントム実験を支持していた。
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