研究課題/領域番号 |
21K15786
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
與儀 彰 琉球大学, 病院, 講師 (80510718)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | SafeCT / ノイズ除去 / CT / early CT sign / 急性期脳梗塞 |
研究実績の概要 |
「SafeCTのノイズ除去処理によるearly CT signの描出改善の検討」として院内倫理審査委員会からの承諾を得た。新型コロナ禍による業者の立ち入り制限によって設置が遅れたが、令和3年10月にSafeCTを院内に設置した。その際、臨床目的で撮影された頭部CTを検討に用いるため、琉球大学病院放射線部、琉球大学病院情報処理センター、当院RISのメーカーである富士フイルムメディカル株式会社と調整し、SafeCTをPACSに接続し、SafeCTで処理した研究用画像は富士フイルムメディカル株式会社のワークステーションにストアする運用を確立した。 現在までに27症例(43梗塞巣)の頭部CTに対してノイズ除去を終了している。現時点で視覚評価を行った。臨床で用いる5mmスライス厚の画像(5mmグループ)、スライス厚0.625mmの元画像(thin-sliceグループ)、ノイズ除去処理を行った画像(SafeCTグループ)の3群を用意し、1名の放射線科医がearly CT signの範囲の評価を行った。reference standardをDWIまたはフォローCTとし、梗塞巣の範囲の一致率を3段階(スコア1:検出されず、スコア2:一部が検出された、スコア3:完全に一致して検出された)で評価した。また評価に要した時間も記録した。これら3段階評価と評価に要した時間を、それぞれFriedman test、one-way ANOVAにて評価した。その結果、一致率は群間で有意な差を呈し、SafeCT群が最も好成績だった(p < 0.03)。検出に要した時間も3群間で有意な差を呈し(p < 0.00001)、さらに多重比較でSafeCT群が最も短時間で検出していた(Tukey test, p < 0.03)。 よってSafeCTがearly CT signの描出、評価に有用であることが示されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナ禍によって業者の立ち入りが制限され、SafeCTソフトの導入が遅れてしまった。その後も立ち入り制限がかかってしまい、ソフトの調整、運用の立ち上げが遅れている状況である。 また新型コロナ関連で診療業務の圧迫もあり、十分な研究時間を確保することも、以前に比べて困難になっている。
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今後の研究の推進方策 |
ようやくSafeCTの調整が設定でき、安定したノイズ除去を行う事が可能となったので、今後は過去画像からの症例を随時登録し、early CT signの視認性を評価していく予定である。併せて物理実験も行い、視覚評価で得られた結果を物理的評価の結果と照らし合わせ、結果の考察を行う。 可能であれば県内他施設の症例も登録を行い、SafeCTの特徴のひとつであるベンダーフリーでノイズ除去が可能であることを活かし、他のCT装置で撮影された頭部CTのearly CT signも視認性が向上したかどうか確認する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ禍による影響で研究開始が遅れたこと、学会がWebで開催されたために旅費が全く使用されなかったことが理由として考えられる。 次年度はさらに症例を追加し、検討を進めていく。また国内学会や国際学会に可能な限り参加して、得られた結果を発表や情報収集を行う。必要があれば統計解析を外部業者に委託して結果を適切に検討し、論文化して投稿を行う。その際に英文校正費用なども発生し、出来ればオープンアクセス可として大勢の研究者の目に触れるようにする。
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